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ドロンワークは織物の経緯(たてよこ)の糸を抜き取り、残されて いる糸を数本ずつ束ねてかがりながら模様付けをするものである。
ドイツ、デンマークには早くから優れたドロンワークが伝えられ、 ペルシア風や草花の模様が表現されている。

1500年代中頃
に多く作られた初期のニードル・ポイントレース。
カットワーク、ドロンワーク刺繍を併用して四角形をもとに、 それに円・ロゼット・星・斜め十字などを配した幾何学模様で、 糸のみによるレース。
プント・イン・アリアの前身である。

17世紀に作られた初期のニードル・ポイントレース。
「空気に刺して作ったレース」という意味のこのレースは基布を用いず、 糸と針だけで構成されており、中空レースとも呼ばれている。


ベネチアンレースの一種。 大きな模様を浮き彫りのように盛り上がらせたレース。
15世紀にイタリアで作られ、ルイ14世時代にフランスに 製法が伝えられ、17世紀には最も盛んに作られた。

大きな図柄のグロ・ポアン・ド・ヴニーズに対し、柔らかな雰囲気やデザインの洗練さを出すため小花、巻きづる、葉などのモチーフを繊細で小さくしたのがこのレースである。

この名称はルイ14世の宰相コルベールの重商主義政策によるレース産業の開設、振興を機に生まれた。
イタリア・フランドルから技術者を導入、オーリャック、セダン、ランス、アランソン、アルジャンタン、アラスなどに工房や倉庫などを設置、さらに外国産レースの輸入を禁じてフランス国内のレース産業育成に努めた。
レース先進国イタリア・フランドルの模倣に始まり、1670年代後半にはそれらをしのぐ技術的や各地方独特の様式を確立するとこの包括的なポワン・ド・フランスという名称は失われ、代わりにポアン・ド・セダン、ポアン・ド・アランソン、ポアン・ド・アルジャンタンなどの名称が登場した。

フランス北東部にあるセダン市で作られたレース。 このレースは大胆な模様とピコ(環・またはこぶ状の縁飾り) のある六角形のブリッドのグランドが特徴。

フランス北東部にあるアランソン市に1655年レース工場ができ、1678年にはアランソンレースとしての形が確立、この頃からアランソンの名で呼ばれるようになった。
薄いネット地の上にコードで模様の輪郭を取り、ぎっしりとつめて刺された模様が特徴の繊細で丈夫なレース。

レゾーはフランス語で「網目」の意。「より軽く・美しいレース」を求め、フランスの業者がイタリアのニードルポイントレースを取り入れて発展させ、18世紀の流行に応えたもの。
このレースはボビンで作る方がより美しいため、次第にニードルによる製造はすたれていった。

18世紀、ベネチア近郊のブラノ島で作られたネット地のレース。 使用されているレース糸は最上のものが用いられていた。
このレースは下地がブライドやバー(枝)で作ったものではなく、 網目あるいは網目刺しで作られていることが特徴。

ブリュッセルレースの一種。主に19世紀に作られたフランドル地方のレースをさす。1830年頃登場し、1860年代に技術的に完成した。
名称はガーゼのように薄く細かい編地に由来。網目は丸みを帯び、バラや植物を中心とした模様は細かい糸で縁取りされた小さなモチーフを一枚ずつ作って何枚かを巧妙なステッチではぎ合わせて用いる。

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